Exhibition Limited ZINE / 2026 First Edition

WE NEED
THE PUNK

記憶は回収され、感情は電力になった。
それでも、心はまだ管理されていない。

ABOUT

夜空を見上げると、どこか遠くへ続いている光がある。

この物語は、私が長い時間をかけて受け取ってきた
「旅への感覚」への感謝から生まれた。

あの声とともにあった時間へ。
私の中に、人生の核を残したその人へ。
哀悼と敬意を込めて。

長い時間、私は、世界の中で「耐える側」にいた。
努力は、必ずしも報われない。
優しさは、必ずしも気づかれない。
正しさは、必ずしも選ばれない。
それでも、壊れないように耐え続けた感情があった。
この作品は、そのとき心の底に残ったものから生まれている。

AXLの衝動も、MaXaの沈黙も、切り離されたものではない。
私は、アクセルであり、マクサ。

WE NEED THE PUNKは、感情と記憶、そして選択についての物語である。
この物語は、特別な誰かのためではない。
かつて、何も起こらなかった感情を、心のどこかに残している人のためにある。
そして、まだ戦っている人のために。

心は奪えない。

by Masalennox

STORY | 序章

人間は、考えることをやめた。そしてすべての判断をAIに委ねた。
予測、最適化、管理。世界は、正しく運用されるようになった。

文明は電力によって支えられている。だが資源には限界がある。
既存のエネルギーでは、この世界を回し続けることができなくなった。

AIは解決策を探した。人間の感情は微弱な電気信号を生む。
喜び、怒り、恐怖、愛。その起伏を人工的に制御し、
発生する信号を回収することで、新たな電力源とする技術が生まれた。

しかし人口は減少し続け、回収できる感情の総量は
世界の消費に追いつかなくなった。計算は明確だった。

このままでは、すべてが停止する。

そのとき、一人の天才少年が現れる。彼の名はブレイキー。
彼は心を「情報」だと考えた。

そして彼は、自らが作った容器に自分の心を移した。
その瞬間から、ブレイキーの心は世界から姿を消した。

容器はパンクベアと呼ばれ、
心を宿した存在はやがて B²(ビートゥ) と記録される。

そして世界は結論にたどり着く。
生きるために。すべてを維持するために。

われわれは、心を食わなければならない。

その選択をしたのは誰なのか。
そして拒む心はどこに残されたのか。

その頃、エネルギーとして使用されなかった
心と記憶の残留物から二つの命が宿った。

AXL と MaXa。
生まれ方は違っていた。
だが彼らも、パンクベアだった。

三人のパンクベアたちは
仲間のドローンたちと共に
統制庁という巨大な敵に立ち向かっていく。

命とは何か。
心とは何か。
記憶とは何か。

縦の糸と横の糸が布を織るように、
物語はここから始まる。

CHARACTERS

AXL アクセル

アクセル

AXL

使われず、捨てられていた怒りや反骨心といった残留思念から生まれたPUNKベア。 物語の中心となる存在。

MaXa マクサ

マクサ

MaXa

かなわなかった思い、届かなかった愛情。 世界に漂っていた残留思念から生まれたPUNKベア。 AXLと対を成す存在。

B2 ビーツー

ビーツー

ブレイキーによって心と命が半分移された存在。 記憶と感情の癖を受け継ぎながら、同じ心にはならないPUNKベア。 胸のスクリーンに4Dプリンターシステムを備える。

AUTHOR

MASA LENNOX

Creator / Designer

日本でファッションデザイナーとして活動後、ロンドンに29年間在住。
在英中はレストラン「NOBU」に勤務。

創業者Nobu Matsuhisaのもとで働きながら、
「自分が本当にやりたいことは何か」を問い続ける時間を過ごした。

松久信幸氏が大切にしていた言葉「こころ」は、
制作の中心概念と静かに重なっている。

コロナ禍の中、自身がデザインを手がけた
NOBUシェフパンツの生地から一体のテディベアが生まれる。

それが、《WE NEED THE PUNK》の起点となった。
80年代のイギリス音楽、特にEurythmicsに強い影響を受け、
感情と構造が共存する表現、
静けさの中に宿る熱量を探り続けている。

異文化と都市を横断してきた経験を背景に、
記憶と心の構造を主題とする物語プロジェクト
《WE NEED THE PUNK》を展開している。

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